最後方からみえる世界

GKを分析的にみる

今週のPickUpSaves-カウンター編-

 今週のPickUpSavesはカウンター時の対応を取り上げる。今回は久しぶりにリーガエスパニョーラからプレーを取り上げる。実はセビージャのセルヒオリコの成長ぶりを拝見するためにラスパルマスvsセビージャを観戦していたが、ラスパルマスのGKチチゾラが良い対応を見せたので、今週はそのプレーを解説する。

ではそのプレーをまず見てみよう。

ツイートにも書いたが、「0-2」「残り25分」「カウンター」の状況下、あと1失点していればこの時点でゲームオーバーとなる場面で冷静な判断で最適なプレーを選択したGKチチゾラ。このカウンターの対応が”どのように”最適だったのか、解説していく。

要点は2つ
①下がり過ぎない(空間と時間の限定)
②下げさせ過ぎない(プレーの限定)

 

①下がり過ぎない(空間と時間の限定)
まずチチゾラが画面に映ったとき、ゴールエリアライン上にいる。ここではこれ以上下がらない。

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ディフェンスラインとGKの間のスペースを埋め、スルーパスに対する距離を詰めるためだ。DFとボールホルダーの距離が近く、シュートの可能性が低いことも、この立ち位置を選択した要因だろう。相手にプレー空間を与えない。
実際にエンゾンジにボールが渡ったとき、横移動のみで、相手のプレー時間を限定できた。

 

②下げさせ過ぎない(プレーの限定)
DFの話。おそらく原則としてペナルティーエリアラインで止まることになっているかもしれない。ここでは、下がりながら左右どちらかを切って限定し、エリアラインで止まる。結果的に手前のDFがこけた(実は2失点目もこの選手はこけていた)ので相手がそちらへのパスを選択。

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しかし、そこはもうGKのテリトリーで、GKのプレーエリアになっている。よってエンゾンジのプレー時間は限定されていた。楽々とセーブ。
限界線を決めてそれ以上下がらない指示(またはチームでの約束事)を与えることで、GKもDFも仕事が明確だった。

 

下がり過ぎない立ち位置とDFとGKの仕事の明確化によって防ぐことができたシーンだった。

以上。