最後方からみえる世界

GKを分析的にみる

GK詳細分析「ゾーン1での振る舞い」

 いよいよ開幕しました欧州のシーズン。今季も眠れない夜が毎週あるのか…と思いきや、来月から欧州生活が始まる僕はゴールデンタイムで見れそうなので、寝不足の心配はありません(自慢のように聞こえてしまったら失礼いたしました)。

 

 さて、昨シーズンの途中から始めたPickUpSavesですが、今季は失点の分析もやっていこうという心意気なので一新して「GK詳細分析」と題して毎週お送りしていきます。(昨季は途中で始め途中で終わる、中途半端な性格丸出しな企画でしたが、今季は根気強くやっていこうと思います)(韻を踏んだのは偶然です)

 

 第一回はUEFAスーパーカップから抜粋。まずはプレーをみる。

vimeo.com

 

 早速失点の分析。ジエゴ・コスタがゴリゴリ前進して角度のないところからニアにズドンと決めた先制点の話。

 

 GKの目線から見る。シュートはゾーン1。つまり立っているだけである程度守れるゾーン。味方が2人後方から戻ってプレスをかけていて、相手はプレッシャーがかかっている状況だ。しかし相手はジエゴ・コスタ。どんな体勢だろうと貪欲にシュートを狙ってくる、GKにとっては嫌なFW。そして強いシュートも打てる。

 

 「シュートコースを狭めるか」or「反応時間を作るか」

 

 ポジショニングはどうだっただろう。

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 ニアポストからおよそ3歩ほど前進して構えている。基本的にどのシチュエーションでもそうだけど、前進して得られるメリットは「シュートコースが狭まる」こと。下がって得られるメリットは「反応時間が作れる」ことだ。

 

 このシーンでナバスは前者を選択した。というか、おそらくそうして前進してポジションを取ることがもはや習慣となってる。

 

 問題はこの選択が果たして正しかったのか、である。

 

 ゾーン1は立っていてもある程度守れるエリア、つまりそもそもシュートコースが限られている。その状況で前に寄せてさらにシュートコースを狭める必要はあったのか。

 相手はジエゴ・コスタだったことも考慮すべきだった。強いシュートを打ってくる可能性が高い相手に対して、寄せることで得られるメリットと下がって得られるそれの、どちらが大きいだろうか。

 

 「どちらが正しかったか」と言い切れるほどGKは簡単なポジションではない。同じシチュエーションは2度と訪れないし、正しくないようなポジショニングでも結局はゴールを防げれば無問題なのだ。だけど、このシーンでは明らかにボールへ反応できてない。反応時間があったら防げた失点だったというのが僕の認識だ。

 

 ひとこと

ナバスは「なるべく前進してシュートコースを狭める」ことでゴールを守り、生き残ってきたGKだ。そしてその生き残りかたは世界中の「小さなGK」にとっての希望だ。しかしこのままレアルにとどまるとすれば、「巨人」クルトワと熾烈なポジション争いを強いられる。どうなることやら。

 

 追記

ゾーンモデルはこちらを参照↓