最後方からみえる世界

GKを分析的にみる

今週のGK詳細分析「プレジャンプを巡る話」

 GK界隈では散々擦り倒された「プレジャンプの是非」について、ここで議論を始めるつもりはない。選手によって良し悪しの差があるし、慣れ親しんだフォームでプレーする方が良いパフォーマンスを生むだろうから。

 それを理解した上で話を始めよう。今週の議題はチェルシーvsアーセナルムヒタリアンの得点シーンだ。まずはプレーを見ていただく。

vimeo.com

 

 ご覧の通り、ケパはプレジャンプするとき、腕を後ろに大きく振っている。結果的に低弾道のシュートに手が間に合わず、弾ききれずに失点を許した。

この失点は現地でも議論になっているようだ。

”勢いを生み出そうとしているが、ケパは腕を後ろに大きく振りすぎているようだ。ムヒタリアンのシュートに手を伸ばそうとするとき、右手のコントロールができていない”

”ケパの腕振りはやりすぎだろう。本当に大袈裟だし手を下ろす時間がかかる”

 

この失点の場面に限らず、プレジャンプの際に腕を後ろに振るクセがケパにはある。


ただ、これを”クセ”といっていいのだろうか。

常にこの振る舞いをしているわけではない。

 

近距離のシュートではこの振る舞いが現れない。

いくつかケパのプレー集を見ていて気づいたのは、「中距離のシュート」に対して、腕を振る傾向があることだ。なぜだろうか。

 

youtu.be

 

 考えられるのは、先ほどの英語のツイートでもあった通り、「勢いを生む」ためだ。隅を突いてくるシュートに対し、腕を後ろに振って勢いを生み、そのスピードを生かして、止める。実際にそうして止めるシーンがプレー集にもいくつかあった。
よって、おそらくシュートの距離に応じて、予備動作を変えている。それも意識的に。練習でも見られることから、「意識的に訓練されている」可能性もある。

 

ひとこと
 こういったシーンは今後もあるだろう。よって改善が図られる。策は2つ。①構えを変える②スピードをあげる(慣れる)。①は予備動作の振る舞い自体を変える。②は振る舞いは変えずにスピードを上げる。どちらも時間がかかりそうだ。

 

以上。