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ホッフェンハイムvsドルトムント -レビュー-

 久しぶりにこちらでブログを書く。話題は「ホッフェンハイムvsドルトムント」です。最終節を迎える段階で、ドルトムントが3位、ホッフェンハイムが4位。両チームとも来季CL権を獲得できる位置にいるが、レヴァークーゼンの結果次第ではどちらかのチームがCL権を逃す可能性が残されていたと考えると、消化試合になる可能性がゼロ、真剣勝負を見られる。さらにホッフェンハイムはこの試合で2点差以上の勝利を収めると3位になりCLストレートインを果たせるという意味でも重要な試合となった。

両チームの陣形はこちら。

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ホッフェンハイムの代名詞でもあるアンカーを置いた5-3-2に対して、ドルトムントが噛み合わせてミラーゲームのような形。グリリッチに対してシュールレを当てるドルトムント

 

ミラーゲームなのでそれぞれの位置でマッチアップが生まれる。問題はどのエリアで数的優位を生み出すか。

 

ここからは超ホッフェンハイム寄りのレビューですので、悪しからずm(__)m

 

インサイドハーフ(ツバーとクラマリッチの非対称性)
・13分以降のクラマリッチの振る舞い
・18分以降のツバーの振る舞い
・3点目が入る前のビルドアップ(72分前後)

 

このラインナップで見ていく。

まずは、

インサイドハーフ(ツバーとクラマリッチの非対称性)

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序盤、ツバーがグリリッチと並行してボール運びをする一方で、クラマリッチはより高い位置を取っていた。後ろは自由にボールを回せる上に両脇CBが持ち出せるので、クラマリッチはヴァイグルを引き出して、左CBからサライへのパスコース確保の役割をになった。

ツバーはウートとの関係でレイオフを狙ったりしたが、基本的には後ろでの繋ぎに従事した。あくまで序盤は。

 

・13分以降のクラマリッチの振る舞い

左サイドで数的優位を生み出すために、クラマリッチの工夫が見られる。例えばヴァイグルの背後に位置して、ピスチェクとマッチアップしたり、ワイドレーンまで開いてシュルツを中に入れたり。多様なポジションチェンジを繰り返すクラマリッチに対し、ピスチェクとプリシッチは手を焼く。

 

・18分以降のツバーの振る舞い

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このあたりから、ツバーも高い位置を取り始める。特にドルトムントのプレッシングラインが下がっているときは。

この動画の最後のシーンはこの試合を特徴づけるシーンだった。左CBのビチャクチッチが第一プレスラインを楽々ドリブルで突破する。プリシッチをワイドでピン留めするシュルツ。ヴァイグルとピスチェクを引き付けるクラマリッチ。ビチャクチッチはクラマリッチに当てて自身は裏抜けで突破。得点には至らなかったものの決定的なシーンだった。

「サイドでいかに数的優位を生み出し突破するか」これが試合を決定づける3点目にも絡んでくる。

 

・3点目が入る前のビルドアップ(72分前後)

 2-1で勝利は見えているものの、CLストレートインを果たすためにはもう1点が必要なホッフェンハイムだが、彼らはブレない。

試合を決定づけたのは左サイドからの崩しだった。ワイドレーンでボールを受けたクラマリッチがプリシッチに猛然と仕掛けて、シュルツを含めた2対1の状況を生み出す。遅れてヘルプにきたピスチェクに奪われたが、さらに猛然とプレスを開始し奪い返し、FK獲得。このFKからCLへと導く3点目が生まれたのだった。(ナーゲルスマンの雄叫びまで見てください)

 

このまま試合は終了。ホッフェンハイムは「2点差以上での勝利」という課題をクリアし、見事初のCL権を獲得した。