最後方からみえる世界

GKを分析的にみる

GK詳細分析「ボールにパワーを伝えること」

 ボールをキャッチする事がGKにとってベストなプレーだ。ただ、どんなボールでもキャッチできるわけではない。よって弾くことを身につけることもキャッチすることと同じくらい大切になる。そして弾くことを躊躇わないマインドセットも重要である。

 

 今日見ていきたいのはアーセナルvsリバプールの2つのシーンについて。アリソンとレノの「グラウンダーのクロスボール処理」に注目する。

まずはアリソン。27分のシーン。 

 


クロスボールが放たれた瞬間にはすでに弾く判断を下していた。それはエリア内からのボールで、距離が近かった事が要因だった。ボールにアタックするとき、グーにしていることからもわかる。

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遠くに弾くのは、ボールを危険なエリアから遠ざけるためだ。よって明確に弾きだすためには、手のひらより、拳で強く弾く事が推奨される。そのほうがボールに力を伝えられるからだ。アリソンのプレーはそうした判断に基づいていた。相手にボールが渡りそうになったが、パワーを持って弾いたので結果的にミスを誘い、難を逃れた。

 続いてレノの失点についての分析。これをみるガナーズファンに伝えておきたいのは、レノのプレーを貶める意図は決してないということだ(僕がチェルシーファンであることは確かだが、別に嫌いではない。というか嫌いなチームなどない。だってサッカーそのものが好きだから)。

 前段はこの辺にしておいて、アーセナルの失点を見てみる。

 


 レノが弾いたクロスボールが運悪く相手に渡ってしまい、先制点を許した場面。致命的だったのは、ボールへのアクションを選択する判断だ。つまり、つかむか弾くかの判断である。レノはクロスボールを(おそらく)取れると判断し、両手でキャッチしにいったが、距離が足りず掴めなかった。

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ゆえに危険なエリアに残してしまったボールが、相手に渡ってしまった。ここでは、片手でボールを弾きに行くのが選択すべきプレーだった。両手の拳ほど力を伝えられないが、手のひらでよりは遠くに弾ける。この判断が致命的だった。

 ただ、擁護すべき点はある。クロスボールが放たれた位置の距離が若干離れていて、さらに高速というほど速いボールでもなかったので、両手で掴みに行けると判断したのは理解できる。そしてボールに触ったことでサラーへのパスを遮断しており、その点ではゴールを防いだとも言える。だが、弾いたボールが味方に当たってしまい、運が悪かった。こうした不運に抗えないのはGKの宿命なのかもしれない。

 

ひとりごと

 アーセナルの同点弾についても言及しておくと、あれはラカゼットが見事だった。ダイレクトシュートを防ごうと飛び出したアリソンから、ファーストタッチでうまくGKからボールを隠し、その後のシュートも見事だった。ありゃ、すげぇや。

 

参考文献

www.dailymail.co.uk